はじめに
チーズにはいろいろな種類があります。熟成させないフレッシュタイプやカビを用いた白カビ、青カビタイプ、また、チーズの水分を少なくしたセミハード、ハードタイプなどのように様々なものがあります。
その中でも、今回はこの水分が少ないハードタイプのチーズのうち、ミモレットというチーズについてお話ししようと思います。
ミモレットとは
ミモレットとは、断面が明るいオレンジ色をしたチーズとして知られる、牛乳を乳種とするチーズです。
このオレンジ色はベニの木の実から採られる「アナトー」と言う植物色素によって色付けされたものです。
ミモレットはオランダ産のエダムチーズを真似してフランス北部のリールという街が原産地であるハードチーズの一種です。
したがって製法は、チーズダニの繁殖によって熟成させるというエダムチーズと同じ製法が用いられています。
ミモレットの製法
先ほど述べたように、ミモレットはチーズダニの繁殖を用いることで熟成を進めます。
このチーズダニは温度に敏感なため、もし少しでもミモレットが高温状態にさらされてしまうとダニは死滅してしまい、それ以上チーズの熟成は進まなくなります。
また、中にはダニと聞くと悪いイメージを持つ方もいらっしゃるかと思いますが、ダニはチーズの外皮にのみついているため、外皮を削ってしまえば問題はないのです。
もしもこのダニを食べてもそれほど問題があるわけではなく、むしろ工業的ではなく自然な環境に近いチーズとして安心できるかと思います。
ただ、あまり美味しくないと言われますので無理して食べる必要はなく、削るのが一般的です。
この外皮なのですが、ミモレットの熟成に時間をかけるほど硬くなり、熟成期間によってはナイフが入らないほど硬くなることもあります。
また、この外皮の吹き出し具合を見て熟成具合の良いミモレットかそうでないかを決めるのですが、詳細は後ほどミモレットの選び方という段落で述べます。
ミモレットの味の特徴
ミモレットの味は熟成具合によって異なります。
熟成期間は浅いものだとおおよそ3か月ほどで、長いものだと2年以上になるものもあります。
熟成期間の浅いものは柔らかく、チーズのクセが控えめでマイルドな風味です。
反対に熟成期間の長いものは、硬くなって濃厚なコクとほろ苦さが混じります。
また、木の実のような風味を感じることもできます。
このような特徴から「からすみ」に例えられることも多くあります。
ミモレットの選び方
先ほど述べた通り、ミモレットは外皮を見て選ぶべきだと言いましたが、店頭に並ぶときには外皮は削られて、中身のオレンジ色の部分しか見ることができない場合が多いです。
この場合は、特にこのオレンジ色が明るいものを選ぶのが良いです。
もしも、チーズ専門店などに行って外皮付きのミモレットを買う機会がある方は是非外皮の吹き出しが多いものを選ぶようにしてください。
なぜなら、この外皮の吹き出しこそがチーズダニの働いた証拠であり、熟成が進んでいる証拠になるからです。
したがって、外皮を削ってしまった状態でミモレットを売っている場合、その熟成の進み具合が正確にはわからないので、判断する基準が曖昧になってしまいます。
なので、確実に熟成が進んだミモレットを食べたい場合はチーズ専門店に行って、外皮がついたミモレットを外皮の状態で判断して購入することをお勧めします。
外皮を削ってしまう理由とは
ではなぜ外皮を削ってしまうのかというと、外皮に存在しているチーズダニを人工的に作り出すことができないため、次に熟成させるミモレットにその削った外皮の粉をまぶす事によってまた熟成させることができます。
このように、この外皮は生産者にとっても貴重なものなので削ってしまうのです。
決して、熟成具合を隠そうとしてわざと削ってしまっているわけではありません。
ミモレットの美味しい食べ方
さて、これまではミモレットの特徴など食べるのに必要ないことから、選び方というかなり重要なことを述べてきましたが、これからはもっと重要な食べ方についてお話ししたいと思います。
ミモレットはとても美味しいチーズとしてよく知られています。ミモレットの食べ方としては、削ったり、スライスして料理の上にかけるというのが一番手軽で、ミモレットの美味しさを堪能できます。
これは、あまりチーズを食べ慣れていない方でも美味しく食べられ、例えばパスタやサラダなどチーズが合いそうなものにかければとにかく美味しく食べられます。
また、スライスしたものをパンに挟んでサンドウィッチやパンの上に乗せてトーストするのもオススメです。
当然、そのまま食べるというのも美味しく食べる一つの手です。
日本酒や赤ワイン、白ワインはミモレットによく合います。
先ほども述べましたが、外皮はダニがおり、あまり美味しくないと言われますから外皮がついている場合は削ってから食べる方が良いです。
ミモレットの保存法
ミモレットの保存方法ですが、他のチーズと同様で乾燥や水分、カビには要注意です。
ミモレットは水分の少ないチーズなのであまりカビについてそれほど神経質になる必要はありませんが、買ってきたチーズは丸ごとラップに包んで、冷蔵庫で保存しましょう。
そして、冷凍してしまうと、解凍時に舌触りや風味が悪くなってしまうため冷凍は避けましょう。
加熱調理をする場合には冷凍しても良いのですが、冷凍は避けるのが無難でしょう。
冷蔵庫に入れておけば大丈夫かと思いますが、高温や直射日光は避けましょう。
また、切り口が濡れた状態のままラップをして保存してしまうとカビの一因になりますので、濡れていたら清潔な乾いた布で拭くようにします。
また、カットやスライスの際ですが濡れた調理器具は使わないように注意してください。
とにかく水分をチーズに与えないように注意してください。
そして、チーズは匂いを吸収しやすい性質があるので匂いの強いものと一緒に保存しないように気をつけて下さい。
以上の点に注意しておけば、ミモレットは他のチーズに比べて比較的長く保存することができます。
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