チーズ王国オランダのチーズの歴史や種類、現在の問題について

歴史

チーズ王国オランダのチーズの歴史や種類、現在の問題について

 

オランダといえばチューリップや風車等をイメージする人も多いかもしれません。

しかし、実はオランダはチーズの生産量、消費量ともに多いチーズ大国でもあるのです。

オランダ人1人あたりの年間チーズ消費量は平均14キロ以上といわれており、毎年70万トンものチーズを生産し、国外への輸出量は約50万トンと、チーズの輸出国として世界的にも有名なのです。

オランダのチーズの歴史

オランダがチーズを作り始めたのは紀元前にものぼり、その歴史は古いとされています。

なぜ紀元前からチーズを作っていたとう説があるかというと、紀元前200年頃のものと推測される土器のなかから、チーズ製造用の土器が発見されたためです。

その後、オランダではチーズは国内での取引で重要な位置を占めるようになり、チーズを使って様々な物が国中を行きかうようになりました。

そのため、チーズ専門の市場が出来、チーズをより正確に計量するための計量所がもうけられるようになりました。

チーズの市場でオランダで最も歴史が深いアルクマールのチーズ市は、計量所が設けられた時代が、正式にチーズの取引のためのルールが決められた1500年後期よりも古い、1300年代といわれています。

このアルクマールのチーズ市は現在でも続いており、春から夏の間に開催され、今でもこの市場が出来た当時と同じように天秤で量り売りされていて、人気の観光スポットになっています。

他にも、エダムやゴーダといった、チーズの名称にもなっているチーズ市が600年程前から続けられており、昔ながらのチーズの取引方法を見ることが出来、国外から観光客を集める重要な観光資源となっています。

チーズの種類を少し紹介します

ゴーダ

オランダで生産量が多いチーズとしては、ゴーダ、エダム等が挙げられます。

ゴーダは、ゴーダという街で作られたのが起源となった、オランダでは最もポピュラーなものです。

日本で売られているチーズの多くがプロセスチーズですが、実は、その主原料として使われているのはゴーダなのです。

そもそも、ゴーダが色々なチーズのもとになっている、チーズの母のようなものとされており、そのため日本でもゴーダの味が受け入れられ易かったといわれています。

このチーズは、表面を黄色っぽい蝋でかためられていて、直径30センチ以上で厚みは約10センチという大きな円盤型に作られているのが特徴で、重さは10キロにもなります。

3カ月から5カ月の熟成期間を経て作られるこのチーズは、香りも味も強過ぎずくせが少なく、熱でよく溶けるため、料理にも使い易いです。

クリーミーな味わいで、熟成が進むとコクが増していき、よりリッチな風味が出てきます。

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マースダム

また、マースダムというチーズもオランダで人気が高いもので、ゴーダよりやや厚みがありますが、その外見はゴーダによく似ています。

このチーズにはガスホールという、チーズが熟成される過程で発生するガスによる穴が開いていて、スイスのエメンタールにも似ています。

濃縮された牛乳の味と、若干の甘味が感じられ、甘い食前酒等にも合わせやすいチーズです。

エダム

続いて、ゴーダに並び、オランダの代表的なチーズといわれているエダムを紹介します。
エダムの特徴は、まず、チーズを覆っているワックスの色が真っ赤であることです。

これは輸出されるエダムに多く見られる特徴で、輸出されるまでの間、チーズの品質を守るために赤いワックスで覆っています。

この強烈な見た目のインパクトから、日本では赤玉とも呼ばれています。このチーズの熟成には、チーズダニというダニが使われています。

チーズダニはフランス産のミモレットというオレンジ色のチーズを作る時にも熟成の過程で使われ、チーズの発酵、熟成のバランスを良くするダニです。

日本ではなかなか無いことですが、海外で売られているチーズのなかには、チーズの表面にチーズダニの死骸が残っていることもあります(そのダニのついた部分を口にしてしまっても人体に影響はありません)。

このような強い個性を持ったエダムですが、その味わいは優しく、あまりくせが無くてまろやか、そしてバターのような香りが感じられるという美味なものです。

また、これは原材料に牛乳の他に脱脂乳も使用されているため、牛乳のみを使っているチーズに比べカロリーは3割程低く、ダイエット中の人でも食べ易くなっています。

切ると、わりとほろほろとした感じのあるハードタイプなので、パルメザンチーズのように削って粉状にして、パスタやグラタンにかけて食べるのにも丁度良いチーズです。

ライデン

このような牛乳の味わいを活かしたチーズの他に、ハーブによって香り付けされた、ライデンというチーズもあります。

このチーズも、牛乳からバター等を作った後に残る脱脂乳を原料の一部としているので、乳脂肪が少なく低カロリーでヘルシーなものです。

そのため、味があっさりしていてコクが少ないので、味わいや香りに深みを持たせる目的で、クミンシードを練りこんで作られているのです。

そのお陰で、香り高く、味もしっかりしたチーズとなっています。

その他

牛の乳以外にも、山羊の乳で作られたチーズもオランダではよく食べられています。

やや酸味があり、香りにもくせがありますが、味はさっぱりしていて、甘いジャムと一緒に食べるとレアチーズケーキのようにも感じられます。

これらのチーズの他にも、ワインのボトルが大きなチーズに刺さっている「ワインチーズ」や、紫色に染まった「ラベンダーチーズ」等、チーズ生産の歴史が長いだけあって、オランダでは現在沢山の種類のチーズが作られています。

オランダのチーズ問題

そんなオランダでも最近問題になっているチーズ事情があります。

それは、現在ではほとんどのチーズが機械で大量生産されており、農家や畜産を営む家庭、チーズ職人等による伝統的な方法でのチーズの生産量が減ってきているということです。

昔は、チーズを作る道具が女性の嫁入り道具とされる程だったオランダですが、長年守られてきたチーズの製法が風化してしまうかもしれないという危機が迫っています。

 

 

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