チーズフォンデュ
チーズフォンデュは古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩のなかで「チーズとお酒を混ぜ溶かした料理」が描かれていたことが起源の料理といわれています。
しかし、正式にフォンデュと呼ばれ始めたのは19世紀以降のことで、当時は貧乏な農民などが古くなったチーズを溶かして、固くなってしまったパンをそれに浸して食べるという、庶民が古い物を美味しく食べる知恵から生まれたとされています。
しかし、これが生まれた国がスイスかフランスかという点については未だ不明です。
スイス式とフランス式それぞれのチーズフォンデュがあり、どちらもその地域で特産のチーズと地元で造るワインを使用しています。
例えば、フランスのジュラという地方では、その地でよく作られているコンテチーズを使用し、サボワ地方では特産のボーフォールやエメンタール等のチーズを混ぜてフォンデュに使っています。
また、スイスの方ではヴァシュランとグリュイエール、エメンタールがよく使用されています。
一般的には、スイス式のフォンデュの方がフランス式のそれより、味が濃いと言われていますが、使用するチーズの種類が影響しているのです。
フランスやスイス等のアルプス地方で郷土料理として広まったチーズフォンデュは、その後イタリアの北部やドイツへと伝わったと言われています。
そしてそれがアメリカに伝わり、アメリカのクラフト社の考案によってプロセスチーズが生まれたという歴史があります。
チーズフォンデュのお勧めの具材は、チーズの種類によって変わります。
例えば、スイス式のフォンデュの場合、使用されるチーズのほとんどはハード式で味の濃い物です(スイスは産地が多くて交通の便が良くなかったこともあり、腐りにくいハードタイプのチーズが好まれていました)。
そんな濃い味のチーズ液には、比較的さっぱりした味の野菜がマッチします。
茹でたブロッコリーやジャガイモ、ニンジン等の根菜を合わせるのがお勧めです。
また、スイスのフォンデュ料理の種類には「ラクレット」というものもあります。
これは、その料理名の通りラクレットという名のチーズを使うもので、火でチーズの切り口の表面を炙って溶かし、ジャガイモやパン等にかけて食べるというもので、スイス特有の食べ方です。
そして、フランス式のチーズはスイス式に比べて少しあっさりした味わいの物が多いので、合わせる食材はパンや肉等、少し重い味の物が良いでしょう。
茹でたカボチャやサツマイモ等の甘味のあるものもお勧めです。
また、チーズフォンデュに使うお酒にワインだけでなく、蒸留酒も混ぜることで更に味わいが深くなります。
カルヴァドス(リンゴの蒸留酒)やキルシュ(サクランボの蒸留酒)等、フルーツをベースとしたアルコール度数20度以上のお酒を、ワインと共に混ぜてチーズ液を作ると、香りも豊かになります。
最近では日本でも人気の高い料理となったチーズフォンデュですが、その人気ゆえに、スーパー等でもフォンデュ専用の機器や簡単にチーズ液を作ることが出来るセットも売られています。
是非ご家庭でもこのアルプスの郷土料理を試してみてください。
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